2014年4月9日水曜日

新年度がスタートしました

 日本では3月から4月が年度の切り替えだ.東京より1週間くらい遅い(?)東広島の桜も盛りを過ぎつつある中,昨日(4月8日)は各高校で入学式だった学式後,サンスクエアに立ち寄ってくれたのがJ君(来日半年で定時制高校に合格).見違えるようなスーツにネクタイ姿,何ともまぶしい!!
サンスクエアのお隣さんの桜.満開は過ぎた?かな

 さてちょっと遅くなってしまったが,事件(?)が頻発したU18っ子たちの高校入試,とにかく一区切りということで振り返ってみよう.
 結局,U18に係わりのあった子(つきあいの濃淡は子どもによってさまざまだが)で高校受験にトライしたのは11人.このうち高校進学を果たしたのは9人(全日制公立3人,私立1人.定時制5人),叶わなかったのが2人.
 全日制公立合格者の日本での生活歴は,幼児から,小4から,小6からで,それなりの日本語力と学力を兼ね備えていたと言える.一方定時制では,来日半年で合格した子もいるU18っ子が受験する定時制高校は,受験生の半数近くが不合格になる厳しさ(?)で知られている(定員割れでも!!!).不十分な日本語力でも合格した子には,何らかのアピールポイントがあったということだろう.高校進学が叶った子は,大いに勉強し,学校生活を楽しんで欲しいと,ヤッチャル一同心から願っている.
 
 一方,今回,志望をかなえられなかった2人(本当のところ,気持ちの整理はまだついていないだろう),そして実はこのふたりに加えて,U18っ子の中には受験すらしていない子も複数いる.来日のタイミングが悪く,日本でも母国でも中学をドロップアウトしてしまい(卒業資格無し=受験不可),それがゆえもあって高校へ行く気がない子たちだ.みんな17〜19才である.

 98.1%(平成21年度文科省調べ)という日本の高校進学率(定時制,通信制を含む)を見れば,日本の社会では『高卒』を前提にもの事が進んでいくと思った方がいい.例えば専門学校.「外国につながる子」は大学より就職,つまり「手に職」を考えて専門学校を希望することが多い.その多くは「高卒」が受験要件になっている.

 17〜19才で高校へも行かず,そういう子はなにをやっているんだろうといぶかる方もいるのではないだろうか.ご心配なく.この子たちは,ただ遊んでいたり,家に籠もっているわけではない.みんなアルバイトやパートで働いている.東広島には,いや,今や全国に,日本語がほとんでできなくても働ける企業がたくさんあるのだ!!だからみんな,お金はそれなりに持っている.最近,運転免許をとって軽自動車を乗り回すやつまで現れた.「高校なんて行かなくても,俺たちは自立(自活)してるぜ!!」とでも言いたげな感じだ.『生きる』という意味では,なんともたくましい!!
 でも,それは若いからこそできることで,しばらくしたら,ふと自分をふりかえる瞬間が訪れるのではないだろうか?(よけいなお世話だと言われそうだね
 

 高校に行けない子どもたち.これからどうするのだろうか.もちろん中卒認定試験があるから,ドロップアウト組でも高校への道がないわけではない.しかし親にふりまわされ,母語においても学力に問題のある子にとっては,『すべてを日本語で』という試験は,とてもつもなく高いハードルだ.
 
 最近,政府レベルで「外国人を日本へよぶ」のが大きな流れになっている.それはそれで結構なことだ.ただし,一時的に労働力が確保できたとしても,その裏にはこんな現実があることを.政策決定をする人たちは本当にわかっているのだろうか?
 
 ヤッチャルのような市民団体は,そんな子どもたちを,可能な限りのサポートをしながら,静かに見守っていくしかない・・・(