2011年12月23日金曜日

日本のどこが好き?

こう聞かれたら,皆さんはどう答えますか?
「食べ物がおいしいところ」「町がきれい(?)なところ」「みんなが親切なところ
こういう答えは何回も聞いたことがあります.これらはみな,こんなところが好き という答えです.それとも「宮島」「富士山」「京都」などと答えるかな?この場合は,好きな場ですね.
 
 昨日(12/22),コミュンケーションコーナーにやってきたお客さん(YHさん)が,VT君(このところよく登場しますね)にこの質問をしました.YHさんが期待(想定)した答えは,ある特定の場所ではなく,「どんなところ?」の方だったようです.ところがVT君の答えは「TSUTAYA!!」.YHさんはこの答え(言葉)が全く聞き取れませんでした(まあ,彼の発音がかなり独特なこともありますが・・・).自分の質問に対して,まったく想定外の答えが返ってくると,すぐには反応できないものですね.
 おそらくVT君は,「どこ?」という質問を,完全に「場所」のことだと思ったのでしょう.彼の日本語力では,「どこ?」が「どんなところ?」を意味する(=期待される)このフレーズの場合)というのは,まだ荷が重いでしょう.実は質問された時,彼は何と答えたらいいかわからない,という困惑の表情を浮かべていました.「日本」も「どこ」も「好き」もわかる言葉だけど,フレーズ全体の意味するところがわからない.さらに来日以来,東広島からほとんだ出たことがないのだから,そんなこと言われても(どこも知らないから)答えようがないよ!という感じだったのかもしれません.それでも,何か答えなくてはというサービス精神(?)から,必死でひねり出した答えがTSUTAYAだったわけです.


 彼の答えを,YHさんの期待に応えるように読みかえてみると,
「TSUTAYA→CDやゲームがたくさんある→それらを無料で試してみることが出来る→だからそんなところが好き!」とでもなるでしょうか?彼は暇な時はよくTSUTAYAに行くようです.そんな彼の行動は,友だちもあまりいない,学校以外のアクテビティに参加する機会もほとんどない,ちょっと孤独な彼の姿を映しているようで,私はこの答えに少しばかり心が痛んでしまったのでした.(

2011年12月11日日曜日

もちつきをしました

 今日は東広島みどりの少年団の交流もちつき大会に行ってきました.U-18のメンバーに「もちつき大会に行かない?」と声をかけた時は苦労しました.「もちつきって何?もちなんて食べたことない」.来たばかりではなく,日本に数年住んでいる子でもそうでした.学校でやったことあるというのはほんの数人.さらに「日本人はお正月には餅を食べるよ」と言うと,今度は正月というのがわからない.確かに,正月(新年)というのはそれぞれの文化圏で,時期や祝い方がかなり違います.中国では春節,ベトナムではテト・・・,ハテ,インドやインドネシア,韓国ではどうだったっけ??日本に住んでいても,食や年中行事はみんなそれぞれ自国の文化をしっかり守っているようです.
 そんなこんなで迎えた今日.みどりの少年団の子どもたちと一緒に,重たい杵を振り下ろしてもちつきをしたり,粉だらけになっておもちを丸めたり,走り回ったり,おしゃべりしたり,初めて食べるおもちにちょっとおじけづいたり・・・みんな寒さに負けず,元気いっぱい楽しみました.良い交流が出来て感謝です.みどりの少年団の皆さま,本当にありがとうございました.

余談ですがひとつ発見.インドネシア&インドの仲良しコンビが日本茶を飲んだ時のこと.二人そろって「なんかこれ変な味?」「甘くない!!」.なるほど,インドでは甘いミルクティーが好まれるのはよく知られています.インドネシアは地域によって甘いお茶,甘くないお茶があるようです.
 私はアメリカに住んでいる時,全く逆の体験をしました.アメリカにもグリーンティーのペットボトルが売られています.その名はARIZONA TEA.あれを初めて飲んだ時のことは今でも忘れられません!!一瞬,ガムシロップを飲んでいるのかと思った・・・
はあ〜〜
 それにしても,ふたりとも2年近く日本に住んでいるのに,今まで日本のお茶を飲んだことなかったんかい??(

2011年12月6日火曜日

帰国する子,一時帰国する親

 彼は母国へ帰った.昨年はよくU-18に来ていたが,中学生になってからはとんとご無沙汰だった.このところとても不安定で問題行動が多かったと聞いてはいたが・・・6年生半ばで来日してからの1年半は彼にとって何だったんだろう.親は目的を持って日本に来たはずだ.それなのにアルバイトに明け暮れていた.家族を呼び寄せた以上,生活していかなければならないのはわかる.遠く離れて暮らすことが家族にとって良いとも思わない.親も苦しかったに違いない.それでも怒りはこみ上げてくる.いったい何を考えているのだ.振り回され,苦闘し,心のバランスを崩した彼が哀れだ.
 帰りたいのに帰れない子もたくさんいる.今日,頭が痛くて学校を早退したのに,貸しビデオ屋に入り浸っていた彼もその一人だ.夕方浮かない顔でやって来た.今週から親が年少の兄弟を連れて母国へ里帰りするそうだ.「ぼくも帰りたいなあ」普段はシャイで本音を見せない彼がつぶやいた.そうだろうね.「いっぱいおいしいもの買ってきてもらいなさい」私の返事は彼には虚しく響いたことだろう.
 それぞれの家庭にそれぞれの事情がある.でも自分が国を出て日本へ来るということが,我が子にとってどういう意味を持つか,我が子にどういう苦労を背負わせることになるか,それだけは真剣に考えて欲しい.振り回されて大変な思いをするのは子どもたちなのだから.