2012年12月17日月曜日

母語(継承語)を学ぶ子どもたち

 2012/12/15(土)に広島市に行き、中国にルーツを持つ子どもたちが中国語を学ぶ教室を見学してきました。平日は市立小学校に通い、土曜日は母語学習クラスというのは、日本人の子の海外現地校+補習校のスタイルと似ていますね。

 広島市の中心部にある古びたビルの2階。急な階段を上っていくと、そこに『学思』がありましたhttp://gakusi-web.com中国語、英語、美術を教える民間スクールで、それぞれ子ども、大人向けのクラスが複数あります。私たちが見学したのは、中国人の子ども向けクラス。家庭で中国語を使う子どもたちですから、母語(継承語)としての中国語ということになります。小学生対象で、その日の出席者は4〜5年生6人(他に6才未満対象クラスあり)全員違う小学校に通っていますが、ここでは仲良く勉強していました。子どもたちの中国語レベルは同程度にしているとのこと。教材は中国の小学校1年生用の教科書で、この日は「二頭の子どもライオン」の前半部分。二頭のうち一頭はまじめで勤勉、もう一頭は怠け者という、後半部分が容易に想像できそうな教訓的(?)物語です。普段は日本語禁止ですが、中国語のわからない見学者()に配慮してくださり、この日は先生も子どもも日本語を交えて授業が進みました。子どもたちは「本当?日本語使っていいの?」その顔はなんとなくにこにこしているように見えます。どうやら日本語の方が楽な様子。全員日本の学校に通っていて、うち5人が日本生まれですから、まあ当然と言えば当然でしょう。
 子どもたちの翻訳に出てきためぼしい言葉を拾ってみると、たてがみ、独身、ストレス、修業、食いちぎる、なわばり、さらには『おかま』ライオン・・・ニート、肉食系、生活スキルのような最新(?)の言葉もありました。小学校高学年として、日常生活や友達との会話で、日本語に困ることはなさそうです(もちろん個人差はあります)。学習用語はサバンナ、サハラくらいしか出ませんでしたが、これは元が1年生の教科書ということがあるのでしょう。子どもたちが日本の学校でどのように教科学習をしているのか、是非知りたいところです。

 先生によれば、一部の親は中国語だけでなく教育全般に、とても高い意識を持っているそうです。そもそも学思に通わせて中国語を学ばせること自体、その表れと言えるでしょう。外国人の親は「母語(継承語)はわざわざお金を出してまで習うものではない。家で使っていれば十分(保持可能)」と思っていることが多いですから。
 ここでは熱心な家庭は、親子の会話や基本的な読み書き(保持レベル)にとどまらず、子どもの将来を見据えて中国語を学ばせたいようです(それでも中国語を年齢相応レベルに持って行くのは容易なことではなさそうです・・・)。同時に日本語(教科学習)の方では、塾通いをしての中学受験、さらに難関大学への進学もめざし、実現している家庭もあるそうです。これらは親に経済力とエネルギーがあればこそ可能なことであり(学力や日本語力があればさらに有利)、すべての移住家庭にできることではないでしょう。
 以前友人から何度も「中国の親たちは教育熱心!」と聞かされました。しかし東広島では、生活に手一杯で子どもの教育まで頭が回らない親、母語が弱くなり親子の会話が難しくなっている家庭も多く、友人の言葉にあまり現実味を感じていませんでした。しかし今回の見学は『友人の言葉』そのものでした。その落差の大きさ! なんだかとても考えさせられる見学となりました()。

2012年12月10日月曜日

東広島市119番通報体験講座

 このところ寒い日が続いていますね。本日(2012/12/10)の東広島市、最低気温がマイナス3.6℃、うっすらと雪化粧の朝でした。広島市の最低気温は1.2℃(午前2時)でしたから、その差約5℃。東広島って寒いんですよネ!!よく「広島県、瀬戸内海、あったかいでしょう?」と言われるのですが、広島県は結構広いのです。北部へ行くと今日は積雪50㎝くらいのところもありますねえ・・・
*東広島のアメダスの標高は223m、広島市は4mです。

 さて、昨日(2012/12/09)は、東広島市で『外国人対象119番通報体験講座』がありました。総勢100人近く、スリランカ、カンボジア、ベトナム、中国、台湾、インドネシア、カナダ、マレーシアなどなど、おとなも子どもも参加して大盛況でした。初めに消防の仕事を学び、実際に119に電話をかける練習。一生懸命練習して言えるようになったはずの住所ですが、数字を言うのは結構大変です。司令センターの方が聞き返すと、立ち往生してしまい「とにかく、はやくはやく!!お願いします」と焦る一コマもありました。そんな時は「サンスクエアのとなり!」「西条駅の前」など、目印になる建物の名前を出すと良いかもしれませんね。それからスリランカ、カンボジアなどでは、消防と救急の電話番号が違うそうです。さらに、救急車が有料の場合もあるとか。日本では無料と聞いて、皆さんほっとしたようです。
まずはお勉強から
 その後、新装なった東広島市消防署を見学。昨年見学した旧消防署は手狭だったのですが、新消防署は敷地が格段に広い!!消防車や救急車の出入りがスムーズになったことでしょう。司令室も広くて、見学用の窓もちゃんとあります。
消防署の司令室。空中写真で通報のあった住所を特定中
 さらに、炊きだし(?)カレーを(ハラールなので、ムスリムの方もみんなおいしそうに)食べて、最後に応急手当講座。本当に盛りだくさんな内容でした。
毛布を使って急病人を運ぶ練習
 いちばんみんながやりたがったのは、やはり、はしご車体験でしょうか。真っ青な空にぐんぐん伸びていくはしご車は、とても絵になります。時間が限られていたので残念なことに数人しかできませんでしたが・・・次の機会があったら、是非また参加しましょう。
 1日がかりの講座、皆さんお疲れ様でした。本当は、今日学んだことが生かせない方が良いわけですが、知っていると安心ですね(
はしご上昇中
高いぜ〜〜〜〜


2012年11月21日水曜日

わかる vs できる

 昨日(11/20)はU18の定例活動日。相変わらず元気な子どもたちです。このところ、低学年、しかも同じ国の子が多いので、1時間ほど宿題をすると、一気に遊びモード突入。いきいきと(母語で)遊んでいる子どもたちを見ていると、微笑ましくはありますが、これでいいのかなあとボランティア一同はため息をついております。
 
 さて、2年生の宿題を見ていて、ちょっと感じることがありました。A君は来日1年ほど、生活や遊びに必要な日本語はだいぶわかって来ました。いつも非常に元気で、大声であちこちにちょっかいを出すので、大変うるさい!!のですが、その一方で頭の回転が速く集中力もすごく、可能性を感じさせる子です。
 2年生のこの時期、算数の宿題は一桁のかけ算(九九)が中心です。宿題プリントの計算問題は、自分で軽々とこなします。日本語の九九は、時々言いよどむことはありますが、何とか言えるようになってきました。しかし、算数の宿題の半分は文章題、ここで手が止まってしまいます。
 「おにぎりが4個のっているさらが8さらあります。おにぎりは全部で何個あるでしょう?」
一皿の絵が描いてあるので、『おにぎり』はわかる。『さら』は?という顔をしましたが、これも絵を見て納得。そして「全部っていうのはね・・・」と説明しかけたところで、そんな説明はまだるっこしいとばかりに、4×8=32 答えは32、これでいいんでしょ、と次に進もうとします。答えに『こ』を入れさせる(32個)と、答えには単位が必要ということはいち早く理解。しかし個が何を意味するかには全く関心なし。
 そして次の「一そう(艘)のボートに人が5人→6そう→全部で何人?」」という問題も、問題文は全く読まず(もちろん、自分一人では読めないのですが)5×6=30、30の後にはなんて書くの?この手で一気にすごいスピードで5問終わらせ、できた!終わり!
 パターン(かけ算して合計を出す)を見抜いて、問題文の数字をそれに当てはめる。理解力の高いA君には、この宿題は楽勝となりました。彼自身もできた!と思ったことでしょう。そして、プリントに書かれている答えは全部正解ですから、学校でも、特に問題視されることはないでしょう。むしろ、良くできたね!といわれるかもしれません。
 しかし、A君は日本語の文章題の意味を本当にわかっているわけではありません。「車が一台、自転車が一台あります。タイヤは全部で何個ですか?」「両手にキャンディーを7個ずつ持っています。キャンディーは何個ありますか?」などという問題に出会ったら(足し算問題ですから、すでに出会っている可能性はあります)、おそらく自分一人ではできないでしょう。タイヤ問題は4+2という計算になりますが、4も2も問題文中には出てきません。キャンディー問題も、両手の『両』の意味を知らなくてはできません。このあたりが「数学(の文章題)は国語力(読解力)が鍵を握る」といわれる所以でしょう。
 
 中学生になっても本質は同じです。「周囲の長さが20㎝の長方形。縦r㎝。横の長さをrを使って表しなさい」。これは中1の問題です(答えは=10-r。20÷2=10→10-rまたは(20-2r)÷2などの方法で求められます。この問題を解くには長方形という言葉を、四角形=辺は4つ、向かい合う辺の長さが等しい、周囲の長さ=縦×2+横×2=(縦+横)×2などと読みかえて(解いて)いく必要があります。この問題に躓いたBさんは、日本滞在年数が長く、年齢相応の日本語力はついている子です。それでも、この読みかえはうまくいきませんでした(自分で言葉に出して説明できない)。中学生になると、使われる言葉、求められる読解力、思考力が一気にレベルアップします。日本人でも苦戦する子は多いです。Bさんとの勉強では、中学の数学=より高度な読解力を痛感しました。

 パターンを飲み込み一見できているように見える→しかし実はわかっていない→読解力に問題有り。日本語が不十分な外国につながる子どもたちだけでなく、実は日本人の子どもたちにとっても大きな大きな問題点ではないでしょうか。子どもたちのできた≠わかったをしっかり見極めたいものです(

2012年11月19日月曜日

東広島市外国人日本語スピーチコンテスト

東広島市外国人スピーチコンテスト表彰式前(緊張してます!!)
 
 2012年11月18日、第9回東広島市外国人日本語スピーチコンテストが開催されました。9回目ですから、結構続いています。昨年はU18からの参加者が5人もいましたが、今年は残念ながらゼロ。大人8人の闘い(?)となりました。皆さん緊張の面持ちでしたが、全員がしっかり前を向いて話していました。伝えたいという気持ちがとても良く出ていたと思います。
 
 先週のアクティビティで活躍してくれたインドネシア出身のDさん、今週も果敢にチャレンジしました。このところ日本語教室に熱心に通っているとはいえ、何せ来日僅か4ヶ月!!皆、かなり心配だったようです。日頃教室で接しているボランティアは、ほとんどの人が聞きに来ていました。みんなの応援に勇気を得たのか(?)、Dさんはゆっくりはっきり、8分間ほとんどよどみなく話し切りました。大拍手!!話し終わってから、ご家族、ボランティアと談笑していたDさんは、心なしか穏やかで落ち着いた顔つきになっていました。きっと大きな自信になったことでしょう。

 優勝者のテーマは「日本のお弁当文化について」キャラ弁に驚いた様子を、写真を交えて、ユーモラスに話してくれました。確かに、平らなお弁当箱にご飯とおかずを彩りよく詰めた日本のお弁当は、他国ではあまり見られません。異文化を象徴するものとして、お弁当(キャラ弁)はとても効果的な選択だったと思います。
 アメリカではお弁当と言えば、サンドイッチ、ミニキャロット、ポテトチップスなどをそれぞれジップロックにいれ、なんの芸もない茶色の紙袋から次々と取り出すスタイルです。アメリカの学校に子どもが通っていた時、おにぎりを持たせることはありましたが、日本式の平面弁当を持たせる勇気は、私にはありませんでした。でも、おにぎりですらあんなに興味津々だったアメリカの子どもたちです。スピーチを聞いていたら、あの子たちにキャラ弁を見せてあげたくなってしまいました(でも私が作ったのでは、きっと何だかわからないでしょう。何せ図工の成績3を誇っていましたから)(

2012年11月13日火曜日

東広島市民多文化共生アクティビティ

 2012年11月11日(1が4こ並びました!)、新しい試みを行い、大成功、大盛況となりました!!名付けて、第1回東広島市民多文化共生アクティビティ。インターナショナルバザーとコンサートに多くの方(日本人も外国人も)が集い、楽しい一日となりました。
 開催した場所は、JR西条駅(東広島市)に近い『くぐり門』、酒どころ西条の蔵元が並ぶ酒蔵通りにあります。酒蔵通りやくぐり門がどんなところか知りたい方は、是非、東広島市観光協会HPを訪れてください左下にくぐり門公式ツイッターもあります。
 
 インターナショナルバザーには、たくさんの方の協力をいただきました(感謝です)。初めは、こんなに売れるだろうかと内心ドキドキでしたが、ふたを開ければ、一部の衣類と書籍を除いてほぼ完売!!中でも防寒衣類と食器が大人気でした。アジアの暑い国から来た人たちには、寒い冬を目前に控えグッドタイミングだったようです。食器も、一時滞在の人たちにとっては必需品です。自宅の蔵(!)を整理して大量に食器を出してくださった方がいたのですが、それも完売でした。
 1階で行われたバザーは、熱気と喧噪に包まれていましたが、2階では美しい音楽が響き渡り、心が洗われる時間を持つことができました。東広島マンドリンアンサンブルの精鋭メンバーによる演奏は、皆さん本当にテクニシャン!!聞き慣れた曲が、ひと味違った雰囲気となり、とても楽しめました。コーロセシリアによる女声コーラスでは、懐かしい日本の歌をいくつも聴くことができました。きっと外国の方々の心にも強く響いたことと思います。

インターナショナルバザー。本当にたくさん!!売れました
 
 このイベントを主催したのは、東広島市日本語ボランティア有志の会です。東広島市は2012年6月現在、人口18万3677人、うち外国人登録者数4664人(人口比約2.5%)。広島県全体の外国人が約4万人ですから、およそ1割が東広島市に住んでいることになります。日頃一市民として、日本語を通して外国人と交流を深めている日本語ボランティアが、さらなる飛躍(?)を目指し、日本語以外にも何かやってみようと企画しました。
 教室型日本語、おしゃべり型日本語、One to One日本語、自由日本語、そして私たちヤッチャル(U18)。東広島市では、いろいろな形で日本語ボランティアが活躍しています。自分もやってみようと思う方は、是非、本ブログ右側にリンクしている東広島市市民文化センターに連絡してくださいね。

 最後に、このイベントの『多文化共生アクティビティ』という名前に注目してください。少子高齢化が進む日本では、今でも、そしてこれからも、多くの外国人とともに社会を作っていくことになるでしょう。文化、慣習などが違う人間が一緒に暮らせば、そこに多くの軋轢が生まれるのは当然です。どうしたら、みんなが気持ちよく暮らせる社会(これを多文化共生社会と言っても良いでしょう)になるでしょうか?
 今回、フィリピン、マレーシアのお二人が、このイベントの企画段階から参加してくれました。当日はインドネシア、中国の二人の男性も、後片付けなど、たくさんのお手伝いをしてくれました。日頃、日本語を通して外国の方と接していると、どうしても教える、教わるの関係になりがちです。しかし、この企画では、誰もが一市民として、同じ立場で協力し合うことができました。なんだかお互いの距離がぐっと縮まったように感じます(日本人ボランティア同士にも、同じことが言えそうです)。外国人も日本人も、皆がひとりの市民として活躍、貢献できる社会。理想論かもしれませんが、目指して行きたいものですね。
 なお、今回のバザーの収益金は、多文化共生社会の夢に向けて、次回アクティビィテイの資金とさせていただきます。皆さん、楽しみにしていてくださいね

 

2012年11月10日土曜日

大統領選挙の地理学

 このところ更新が滞りがちで申し訳ありません。U18の活動は、相変わらず毎週火曜日の夕方(16:30〜18:30)、ずっと継続して行っています。このところサンスクエア(東広島市中心部:U18の拠点)周辺に住むインドネシアの子どもたちが大挙して参加しています。低学年が多いので、勉強の後はカルタに熱中!!元気な子どもたちに、ボランティアの方は、ゼーゼーハーハー(笑)。このインドネシアパワー、他の国の子どもたちがちょっと押され気味なのですが・・・小学校1年以上、外国につながる、学校の勉強などで困っている、そんな子どもならどうぞ遠慮なく来てくださいね。待ってますよ〜〜!

 さて、話は変わって、アメリカ大統領選挙が終わりました。ちょっと振り返ってみましょう。報道で紹介される数字を地図で見るとどうなるかな?
 
 アメリカの大統領選挙は、選挙人争奪戦という独特の方法で行われます。今回、得票数では結構接戦ですが、選挙人争奪戦では結構差がつきました。
得票数   オバマ50% vs ロムニー48%
選挙人   オバマ303   vs   ロムニー206    
上の図の左側3番目の地図:緑の濃いところ西海岸と東海岸)を見てください。緑が濃いのは人口の多いところですが、そこはすなわち選挙人の多い州です。ロムニーの勝った州で選挙人の多いのはテキサスくらいです。カリフォルニア、ニューヨークなど、ことごとくオバマが勝ちました。だから選挙人争奪戦で、あれだけ差がついたのですね。

 オバマの勝利には、マイノリティ、若者、女性の力が大きかったといわれています。これを数字で見てみると以下のようになります。
ヒスパニック オバマ70% vs ロムニー30%
黒人     オバマ94% vs ロムニー6%
未婚女性   オバマ68% vs ロムニー30%
18〜29才   オバマ60% vs ロムニー36%
白人     オバマ40% vs ロムニー58%

上の図の右側3つの地図を見ると
真ん中がヒスパニックの分布です。コロラド、ニューメキシコなど、ヒスパニックの多いところ(赤〜オレンジ)が、いちばん上の地図の青いところ(民主党)と重なります。一番下の地図は黒人の分布ですミシシッピ川沿いの濃い緑色の地域(黒人が多いところ)も、みごとにいちばん上の地図の青いところと重なります。

 のアメリカ時代の親しい友人は、かなり興奮気味にFacebookに書き込んでいました。
「私はいつもはものぐさなんだけど、今回はちゃんと投票に行ったよ〜!」
その友達はヒスパニックで若者(22才)で女性なのです。この結果を見ると、彼女がエキサイトするのもわかる気がします(

2012年10月23日火曜日

火の玉サッカー?!?

ぼくのまちはボゴルです。
ボゴルは大きいまちです。
ぼくの学校のなまえは〜〜です。
ともだちがたくさんいます。
1ばんたのしいあそびはボーラバガルです。
サッカーににています。ボールにひをつけてあそびます。
あぶないのでせんせいがおこります。でもとてもおもしろいです。

 ボゴル(ボゴール?)は、インドネシアのジャカルタ郊外にある町です。標高が高いので、暑いインドネシアでは避暑地なのだそうです。大きな植物園があるところですね。

 インドネシアから来て7ヶ月、6年生のG君が作文を書きました。もちろん、本人が自力で書いた物ではありません。U18のボランティアが質問して→G君が答えて→ボランティアが書いて→Gくんが写してというのを、根気よく繰り返して完成させました。

 きっと母国の学校では楽しかったんでしょうね。「ともだちがたくさんいます」というのが、ちょっと切なく感じます。まあG君はとても明るい性格で、日本に来てからも、家の近所で友達と一緒に走り回っています。でもさびしいんでしょうねえ。
 
 小学生がボールに火をつけて遊ぶというのは想像できませんが、子どもたちはエキサイトするのかな?「危ないので先生が怒ります」というのは、そりゃそうでしょうという感じです。ちょっと調べてみたら、動画サイトがありました。Flaming Football Indonesiaとでもいれて検索してみてください。ボールというのは椰子の実の皮をむいて、ガソリンにひたし火をつけたものだそうです。しかも裸足でプレーすることもあり、やけど予防にはハーブと塩をまぜたものを体にすり込むのだとか。聞いただけで恐ろしくなりますが、動画を見る限り、みんな楽しそうです。「でもとてもおもしろいです」ですね!!(

中国山地は秋の気配です(太田川源流の森にて2012/10/20)




2012年10月11日木曜日

現地校 vs 母国の勉強

 9月は1回書いただけで、なかなか更新できないまま早くも10月半ば、東広島は朝晩冷え込み、すっかり秋の気配です。このところ『現地校 vs 母国の勉強』で考え込んでいました。
 
 アメリカはあの広い国土に、全日制日本人学校は公立3校と私立が数校だけである。多くの日本人の子が必然的に現地校へ通っている。英語で学べてラッキー(と思うのは、英語コンプレックスの塊の親だけかもしれない)である反面、日本語や日本の学校の勉強が心配になる。だから、日本からの通信教育(SじろうやDゼミ)は、日本人の間でかなり人気があった。ただ、日本の義務教育に落第の心配はないから、通信教育やオンライン学習はあくまで自主学習であり、やってもやらなくても、そしていつやめてもいい・・・
 
 つくば市(茨城県)の小学校で日本語ボランティアをしていたことがある。ロシアの男の子(小学校高学年)は週に一度東京に出て、自国の教育を受けていた。毎週同じ曜日が欠席になるので、その曜日しかやらない科目(例えば図工、書道はやったことがなく、担任教師は当惑気味だった。その点、海外にある日本語補習校は、開講日が週末だから、現地校とバッティングはしない。またミャンマーの女の子(小3)は
「今日からミャンマーの試験準備して、来月進級試験を受けるために一時帰国する。帰ったらまた日本語するね」
小学校でも落第制度があるから、自国の勉強をおろそかにはできないという。
 
 子どもにとって母語は何より大切である。数年で帰国する留学生(親)の関心が、母国に向くのは当然だ。落第制度のある国ならなおさらだ。だからボランティア一同、親の方針を尊重し、余計な口出しはしなかった。それでも皆、内心は結構複雑で、決していい気はしないというのは一致していた。中にはハッキリ口に出す人もいた。
「それならなんで日本の学校に通わせるの?外国人に就学義務はないよ。通信教育していればいいじゃない。そもそもなんで日本に連れてきたの?」

 「なんで連れてきたの?」と言われても、家族が一緒に暮らしたい、母国に子どもを預けられる人がいない、以外に理由は見あたらない。家族が一緒に暮らすことに、だれも文句はつけられない。さらに、学校は勉強だけをするところではないとも言える。友達や社会経験も、子どもにとっては大切である。これらは現地校へ行かなくては得られない。
 幸か不幸か、ミャンマーからその学校に来たのは、彼女だけだった。友達と遊びたかったら、どうしても日本語が必要である。本人もそのことをよくわかっていたのだろう。加えて勝ち気でリーダー指向の性格である。日本語教室の野外実習(郵便局へ行って、日本語で用事をした)に積極的に参加し、グループリーダーを務め、率先して郵便局員に質問した。そんなこんなで、日本語のおしゃべりは結構上達したし、クラスに溶け込もうとしていたから、結果的に先生もボランティアも、温かい目で彼女を見守ることができた。

 最近、U18に来る子の親の中にも、
「母国からのオンライン学習ができるから、日本の学校はそこそこで良い。二つの言語で学習するのは子どもにとって負担だからね。それに母国の学校には落第があるし」
という雰囲気を漂わせる人たちがいる。つくばの時のことを考えても、これに正解はない。何が子どもにとって一番いいのか、それぞれの家庭にそれぞれの都合と方針がある。
 ただ、今度の場合、ミャンマーの子のように学校に1人ではなく、同国人がたくさんいる環境である。学校でも家に帰ってからも、日本人と遊ばなくても友達は足りている。そうなると来日して半年以上経っても、日本語がほとんど理解できない子が多い。いったい、クラスでどうやって過ごしているのだろう。学校でも、同国人同士で固まっていたら、日本人の子だって近づきがたい。アメリカでも日本人が多い地域では、よくこのことが問題になる。特に日本の中学、高校受験を意識している層は、時として日本向きの姿勢が露骨になってしまう。そういう人たちに対する「私たちの税金で教育してあげているのに!!」というアメリカ人の声には、素直に耳を傾ける必要があるだろう。
 ただ、同じ国から来た子でも、学年に1人だったり、仲間とつるまない子は、半年でそれなりに日本語を聞き取れるようになっている。友達と話せたよ!と喜びの報告もある。中学生の女の子は、数学、国語だけでなく、技術、美術、家庭科の宿題まで一生懸命取り組むので、ヤッチャル一同目を白黒させながら、大汗かいて一緒に調べている。

 その子たちの通う学校の先生は、一生懸命やってくれている。相手の言葉を学ぼうとしたり、お手紙に英語の注釈をつけたり、ただでさえいそがしいのに、本当に頭が下がる。そんな先生たちが「日本の学校はそこそこでいい」と言われたら、どんな気持ちがするだ
ろうか・・・(


新装なった東京駅(ライトアップ)
昼間の東京駅



2012年9月4日火曜日

これが僕の生活だから

 ヤッチャルは日本語教育国際研究大会名古屋2012でポスター発表を行った(前回のブログ写真)。タイトルはとっても長くて「「定住型生徒」の生活環境から見る日本語の習得状況に関する考察ー中学就学年齢で来日した子どもに対する調査・観察からー」という。発表当日、同じ問題意識を持つ多くの方々と交流を持つことができた。感謝である。

 この発表では、中学就学年齢(11〜14才)頃に来日し、その後定住する予定の8人の子どもの日本語力を調査した(滞在1年以上)。調査には日本語能力試験N4、PVT-R絵画語い発達検査を用いた。詳しい内容は別の機会に譲るが、結果として「来日以降、日本の学校にきちんと通っている子は(そうでない子に比べて)日本語が上達している」傾向が浮かび上がってきた。学校に通えば、いやでも日本語漬けになる。学校に通っている子の方が日本語がしっかり上達するというのは、当たり前といえば当たり前すぎる結論だ。しかし、日本語が何もわからない子どもたちが、どうしていやにならず(拒否せず)日本の学校に毎日通うことができたのか?これは、もう少し突っ込んで考える必要がありそうだ。

 そこでU-18の出世頭(?)VT君に聞いてみた。来日1年足らずで定時制高校合格の実力者である。この夏は母国へ里帰りしてきた。ニューファッションとともに、アジアスタイルの将棋、母国の高校の教科書(数学)、母語のぺーパーバック(アメリカ小説の翻訳もの)を持ち帰ってきた。友達と盛大な誕生パーティーもした。照れた顔には満足感と安堵感があふれている。
「1年前、日本の中3に入った時のこと覚えてる?日本語何もわからなかったでしょ。どんな気持ちだった?」
「早く帰りたかった」
「家へ。それとも母国へ?」
「家だよ。母国に帰れないことはわかっていたから考えなかった」
家族の都合で来日し、定住予定だったので初めから覚悟ができていたのだろう。
「とにかく毎日学校へ通ったよね。結局1年間、欠席は1日だけだった。どうして通うことができたんだろう?日本語わからないし友達もいないのに」
「家に帰っても誰もいない(両親ともに仕事)からつまらないよ」
「でも、家でパソコンしたり、ゲームする方がおもしろいんじゃない?実際にそうなっちゃってる子、何人もいるよね?」
「パソコンは目が痛くなるし、母親が厳しいからそんなにやらせてもらえない。ゲームばっかりしててもつまらないよ」
「母国にいたとき、学校はとても楽しいところだった。毎日勉強したり、友達としゃべったり。だから僕にとって学校って毎日行くところだったんだよ。それが僕の『生活』だったんだ。そう簡単に変えられないよ!だから今でもこれ(毎日学校へ行く)が僕の『生活』なんだ。それに中3では部活ができなかったけど、今はやっている。9月にも試合があるんだよ!!
 来日前から身についていたきちんとした生活習慣と学習習慣。しっかりした親子関係。加えて今回の里帰りでもわかる豊かな人間関係。友達が今でも暖かく迎えてくれるというのは、彼を支える大きな柱のひとつだろう(→本ブログ『感動したことに感動した』参照)。

 それにしてもこの『生活』という言葉、とても深いものがある。こんな言葉が使えるようになるなんて・・・1年半彼とつきあって来たが、感慨無量!!!(

マイナスイオン!!(太田川源流の森20120817)

2012年8月30日木曜日

みんなと同じに学びたいんよ!!


「私はニュースで「いじめ」の事件を見た。私は自殺をした生徒がかわいそうだと思い、いじめの問題に対して腹立たしく思った。それからテレビでいじめのニュースをたくさん見て、日本の学校ではいじめが多いと思った」
U-18の夏休み活動に参加した中学生MCさん。来日半年の彼女の日本語力で、テレビのニュースを理解するのは大変だ。それでも、このニュースは、(悲しいことだが本当に)人ごとではなかったようだ。彼女は夏休みの課題『人権作文』にこのテーマを選んだ(それにしても毎年思う。宿題ってホントに『平等』に課されるよね。ふう〜〜〜〜)。
「私も学校で〜〜人だと笑われたり、からかわれたりすることがある。でも何も言わずに我慢している。どうしていじめられるか考えてみた。日本語があまり上手ではなく、勉強もできないからということだ。だからがんばって勉強してたらいじめがなくなると思う。テストの点数が他の人よりも高くなったら皆私のことを認めてくれると思う。そして日本語が上手になったら、相手との会話がたくさんでき、また楽しく話すこともできる」
う〜ん「テストの点数が高くなったら・・・」彼女にこう考えさせてしまうという現実は重い。まあ人間関係についてはまだまだ手探り状態なのだろう。クラスメートには『違う』ことへの戸惑いもありそうだ。戸惑いを笑いやからかい以外の方法で表現できたらいいんだけど・・・でも、それを乗り越えたところに、友情は芽生えると信じよう。

ところでMCさんにとっては完全にオーバーキャパのこの宿題、本人も周りの人間も「今の日本語力ではとうてい無理!!」と思っても仕方がない。しかし、MCさんは完成することができた。なぜか?
MCさんは「宿題はやらなくてはならない、(みんなと同じに?)やりたい」と強く思っていた(作文の中にもそう書いてある)。夏休み中、やっかいな社会の宿題にも一生懸命取り組んだ。外国の学校では、よくこう言われることがある。
「言葉がわからないんだから、やらなくていいよ」
この言葉、一見親切に感じられる。しかし、この一言は子どもの学ぶ機会を奪ってしまう。MCさんはきっと無意識のうちに「奪われてなるもんか!」と感じたのだろう。心の中で「私だって母語でなら、友達と同じように考え、意見を持つことができるよ。私の力を日本語レベルで見ないで!!」と叫んでいたに違いない。子ども自身がそう思えるのなら、言語力が圧倒的に足りなくても、周りがその気持ちに応えてあげてほしい。それでこそ、子どもの学ぶ機会(権利)は守られる。

U18の頼れる大学生ボランテイアYFさんは、粘り強くこの課題をサポートしてくれた。二人で語り合いながら、少しずつ作文を進めていった。決して「あなたの日本語力では無理よ!」とは言わなかった。
言葉の力が不十分な子と一緒に勉強するとき、語り合いながら(つまり双方向のコミュニケーションをとりながら)勉強するのは最も有効な方法だ。拙い表現でもじっくり聞いてもらえると、子どもは自分から表現しようとする。YFさんがあの笑顔(とてもチャーミング)で聞いてくれると、どの子も安心して話し始める。

学校ではみんなと一緒に新しいことを学ぶ。それが「教師の言うことを聞いて書く」という一方通行の勉強になりがちなのは、(特に中学以上では)ある意味仕方がない。外国につながる子どもたちに何より必要なのは、そのようにして学んだこと(全くあやふやな状態)を定着させる場だ。東広島では、多くの親に日本語力を期待するのは無理な注文だ。家庭学習が望み薄となれば、語り合いながら勉強を進められるのは、U18のようなNPOしかない。学校、家庭、NPO、それぞれがしっかり連携を取り合えば、子どもたちはもっと効率よく(?)勉強できると思うのだが・・・

外国につながる子どもたちにとって、年齢相応の課題を自分で考えるという経験は大切だ。新しい言語のレベルと学習レベルを同じにしてしまったら、その子の思考力を伸ばす機会は失われる。母語、大人の援助・・・使えるものは何でも使って年齢相応の課題にチャレンジしていきたい。ただしそうできるのは、MCさんのようにやる気がある子だけだ。やる気を生み出す源は、実は母国にいるときに身につけた基礎学力、学習習慣である。この夏、私たちヤッチャルはある研究をする中で、このことを痛感した(次回はそれについて語ってみたい)。それにしても、私たちNPOがサポートできないこの部分の重要性・・・親の責任は本当に重いのだ!親たちは本当にこのことを理解した上で、わが子を日本に連れてきたのだろうか?()*作文掲載はMCさんの許可を得ています。

ヤッチャル2012夏の証し(?)(次回のお楽しみ)

発表が終わってほっと一息

2012年8月21日火曜日

森は水のふるさと

前回の書き込みからずいぶんのご無沙汰になってしまいました。U-18はこの夏も楽しく活動しています。まずは月、木、金の午前中、宿題や日本語のお勉強。さらに読み聞かせ、バイオリン体験など、子どもたちは興味津々で取り組んでいます。

そして8月17日は広島市水道局の教育プログラム『太田川源流の森』に行ってきました。「森は水のふるさと」という言葉を心から実感した充実の一日となりました。さわやかな風が吹き抜ける緑の森の風景をお楽しみください(内容は次回にあらめて・・・)。
広島市水道局のみなさま、本当にありがとうございました(
水をたくさん貯えておけるのはどっちの土かな?






2012年7月9日月曜日

『できる』はずなんだけど・・・

U-18の活動の中で、とても気になったことがある。
中学生が数学の宿題(計算問題)をやっていた。横に座って見守りつつ、少しずつ手助けした。どうにか自力で答えを出している。そう、
じっくり向きあって、ゆっくりつきあえば、自分で解ける宿題なのだ。
ところが中学の先生は「解答を写していい」と言うのだそうだ。その子は、家ではいつもそうやっているという。実際にU-18にも解答を持って来ていた。宿題を提出させることで、少しでも平常点を上げてやろうというのが先生の目論見(親心?)なのだと推察する。でも、なんだかなあ。それじゃあの子はいつになったら、自分は「できる!」と思えるようになるのだろう・・・
学校では一クラス30名以上を一度に教えなければならない1週間でここまで、1ヶ月でここまで、1年でここまでという目標(ノルマ?)もあるだろう。現状では、ある程度の無理はしょうがないのかもしれない。しかし「教育する」ということの意味(本質)はどこに行ってしまったのかと考えずにはいられない。
この子たちはこれから先もずっとこの社会(日本)で生きていくことになる。現状では、中学校の教育内容は身につかないままになるだろう。いやそれだけならまだしもである。それ以上に私たちが見つめなければならないのは、このままでは「自分にはできないという自己否定的な気持ちを抱えたまま生きていかせなければならない」ということである。本当に大変だというのはよくわかるが、学校でももう少しこのことを重く考えてもらえないだろうか


広島の風景:夕陽を浴びる厳島神社(2012/07/08)

2012年7月4日水曜日

今年もかざってあります

昨年もこのブログにアップしたインターナショナル七夕飾り。今年もありますよ〜〜。英語、中国語、ヒンディー語、タイ語、ポルトガル語、アラビア語などなど、短冊にはいろいろな言葉でお願いが書かれています。
ところでU-18のISちゃん(小3)は、日本語で書いてから「先生、貼ったよ〜」
おいおい、そこは『貼る』ではなく『つるす(or 飾る?)』でしょう。ISちゃんはきょとんとしていました。どうやら『つるす』というのは、彼女のボキャブラリーには無かったようです。滞在3年目に入り、今では日本人顔負けの弾丸トークを連発するISちゃん。しかし、よく聞いていると、その日本語はまだまだ怪しいです。
これからもしつこく訂正するぞ〜〜!覚悟しておきなさい!!
コミュニケーションコーナー(サンスクエア@東広島市)の七夕飾り

これはのデスク前。U-18の子どもたちが描いた絵。そのうち作品展でもしようかな
色使いが大胆だね!