2011年9月8日木曜日

トップの見識

 随分ご無沙汰してしまいました。U-18は夏休み活動が無事終了し、9月6日(火)から通常活動体制に戻っています。


 9月7日、愛知県豊田市の日本語教室を覗いてきました。案内してくださったのは名古屋大学とよた日本語学習支援システムのK氏です。ヤングナイスガイ(?)で地元愛知県をこよなく愛しているとお見受けしました。


 その教室はある製造業の企業内で開かれています。学習者はブラジルから来た日系人の方々で、授業の雰囲気はとても和やかでした。
 一企業が社員のために日本語教室を開くというのは、東広島市ではほとんど聞いたことがありません(事業団がやっている日本語教室に、企業の担当者が社員や研修生を何人かまとめてつれてきたことはあります)。豊田市の企業はさすがに意識が高いなと思っていたら、K氏が興味深いことを教えてくれました。
「企業の日本語教室というと、まずは仕事に必要な日本語を教えるということになりますよね。企業の期待はそこにあるはずだし、学習者もそう思うでしょう」
「本当にそれでいいのでしょうかね。生活に必要な日本語、学習者のニーズにあった日本語も取り入れたいところです。でも会社の目(?)が気になりますね」
「ある時、一人の重役さんが、“専門でない”日本語を学習しているところを見学したんです。その方が『こういうのはとても良いですね』と言ってくださいました。これで安心して(?)指導出来るようになりました」
 私が参加したグループは『自分が日頃どんなものを食べているか』というテーマで学習しました。確かに『企業で直接必要な日本語』ではないトピックです。肉、サラダ、豆をかけたご飯、お茶というのが皆さんの食事の定番でした。なるほどブラジルの味ですね。私自身、料理や食べ物には人一倍興味がありますから。一緒に学習したKZさんと話が弾みました。


 この日本語教室は、日勤の後、夜勤の前という時間に開かれます(時間延長は一切出来ません)。働いてくたくたになった時、日本語教室で学ぶことまで仕事のこととなれば、誰しも(本音は)うんざりでしょう。「そんな言葉もおぼえてないの」なんて、同僚から(何せ学習者はすべて同僚ですから)言われてしまうかもしれません。加えて「おまえ先週欠席したな」なんていう監視(?)機能が働くこともあるそうです。このあたりはいろいろな人が参加する町の日本語教室とはちょっと違いますね。
 仕事で必要な日本語を身につけることは大切です。しかし、そういう直接的なことでなくても、日本語教室が楽しく、居心地が良く、もっともっと日本語を覚えたいと思えたら、それは労働意欲向上にもつながるのではないでしょうか。
 いち企業が自社の従業員のために日本語教室を開き、その内容も決して仕事優先ではなく幅広い。それもこれも企業のトップの見識(とツルの一声)があればこそ。なんかとても考えさせられる見学となりました。


K さん、本当にありがとうございました。例のマンガ、見つかりましたか?東広島でお会いするのを楽しみにしています。光に満ちた瀬戸内海にも再会してくださいね。(♪)