2011年8月8日月曜日

U-18の中学生(以上)たち

 にほんごひろばU-18は7月25日から夏休み体制です。毎週月、木、金の午前中、学校の宿題、日本語学習、遊びなどを行っています。夏休みに入って、子ども、ボランティアともに参加者が増えました。毎回、中学生以上が5〜6人、小学生が7〜8人というところでしょうか。ニューフェースも多く、初めのうちはバタバタしました。最近はいつものペースが戻ってきています。
 今回は常連の中学生(以上)メンバーの様子をお伝えします。比較的高い年齢で来日した子はどのような問題を抱えているのでしょうか。
 
 V君(来日4ヶ月)は数学が得意ですが英語は大キライ!。この‘大キライ’という言い方を覚えた時、彼は、いろいろな形容詞に‘大’をつけようとしました。たとえば、大きれい、大きたない、大大きい(?)とか。「何でこういうのはだめなの?」(大)不満そうでした。超(キライ、きれいなど)なら何にでもつけられて便利ではありますが・・・
 それはさておきV君に「高校入試には英語があるよ」と言うと「母国の高校入試には英語の試験はない!」と口をとがらせます。そのつもりでいたのに、急に英語と言われて戸惑う彼の気持ちはよくわかります。来日当初はそんな不満も口にできなかった(日本語力ゼロでしたから当然ではあるのですが)ことを思えば、不満も大いに歓迎です(いつでも聴くからね)・・・が、現実は厳しいというのが正直なところです。
 
 中学を卒業したC君(来日1年)が半年ぶりに現れたので、ヤッチャル一同ビックリしました。改めて高校入学を目指したいから勉強する!そうです。彼には以前、とても不安定な時期がありました。今は自分のペースでいられるからか、顔つきが穏やかになっています。周りのことに興味を持ち、自ら質問してくる(母語でですが)ようになった姿を見てちょっと安心しました。でも真剣に高校を目指すなら、もうちょっと勉強しないとねえ・・・まあどうにか宿題をやってくるようになったのは大進歩だけど。
 
 Iさん(来日1年半)はV君とは反対に英語(母語ではない)は得意で大好き。将来は英語の先生になりたいとか。でも母国の学校で算数をあまりやらなかったので、基礎、それも最も大切な部分が抜けています。説明(日本語+英語)すれば理解できるので、抜けている部分(実は小学校3〜4年生の内容)をいちから補習中。でもこの『抜け』は、中学ではまったく見過ごされてしまっています。日本と母国のカリキュラムや進度の違い。多くの子が悩まされていますが、日本の学校の先生はそこまで手が回らないようです。ただし数学ばかり2時間もやるとIさんの集中度は目に見えて落ちます。そりゃそうですよね。ということで英語をやりながら日本語の確認をしていくというように、本人の得意科目も入れてバランスをとるようにしています。

  Ch君は来日半年。母国でもあまり学校へ行ってなかった様子。日本へ来てからも、彼を取り巻く環境はなかなか厳しいものがあります。でも穏やかでのんびりし(すぎ)た好少年。おなかが痛い(?)と、学校もU-18の活動もすぐ休んでしまいます。彼はあと半年で中学を卒業します。でも自分の将来を全く描けない様子。もちろん今のまま(日本語、学力ともに)では日本人と一緒の高校入試は全くきついでしょう。かといって就職といっても・・・いったい彼に何ができるのだろう。親に連れて来られたがゆえの子どもたちの苦労(苦悩)。子どもたち自身に責任はありません。だからといって、「かわいそうだねえ」と甘やかしっぱなしにしていては、一歩も踏み出すことはできません。この辺のさじ加減は本当に難しいところです。(