2011年6月10日金曜日

U-18の課題

 ヤッチャル活動開始から1年、子どもたちとつき合う中でいろいろな課題が見えてきました。ここらで一回、整理しておきたいと思います。目の前に立ちはだかる山はとても険しいですが、だからこそやりがいもあるのかなと思いつつ・・・

1:来日直後・学校への転入直後に必要なサポートをどうするか?
 学校に通いだしたばかりの時には、特に手厚いサポートが必要なのではないでしょうか。子どもたちを見ていると、もう少しきめ細かいサポートがあってもいいのでないかなと思います。教育委員会や学校とともに、サポートの方法や体制について、考えていけるといいのですが

2:全体に共通する日本語指導のノウハウの確立+個々のサポートの方法(様々なサポートのバリエーション)が大いに求められるところです。

3:子どもたちの思考力を伸ばすために何が必要か?
 子どもたちは母語も日本語もどちらも発達しきらずに日本に来てしまい、日本語の海の中をアップアップしながら必死で泳いでいます。ややもすると母語でも日本語でも思考ができない子になってしまいます。
 昨日ある中国人の中3男子に、中学の生活について作文を書いてもらいました。つたない中国語ですが、彼の苦衷がよくわかる作文でした。それを読んで、母語がしっかりしない限り思考力は付いていかないとつくづく思った次第です。自分の気持ちを書き表すことで、自分の頭の中を整理することができます。母語保持にもつながります。母語で作文を書かせることが、思考力を伸ばす事にならないだろうか・・・と思いました。何を書かせたらいいのか、どのようなアドバイスをしたら心のなかにあることが表せるのか、そんなことを知りたいと思います。
 ただし子どもたちの母語は多岐にわたっています。母語でそのような思考力をつけるようにサポートするとなると、子どもたちの母語を知っているボランティアが必要になります。それをどう確保するか、これは非常に大きな、そして難しい課題です。

4:『居場所』とは?
 子どもたちは学校では日本語で他の子とやりとりが出来るようにならない限り、居場所が不安定です。U18では少なくとも誰でも参加でき、居心地の悪さを感じさせない活動を心がけて行きましょう。私たちの活動を居場所づくりにつなげていきたいです。
 子どもたちを見ていると、1週間に一度ですが、お互いの存在がそれぞれの心の支えになりつつあるように見えます。これから先も日本で生きて行く彼らであれば、今後もお互いをサポートしあえる関係になったら心強いことでしょう。そのような仲間づくりをどう創りだしていけるかを考えたいと思います。

5:子どもたちの自尊意識を高めて行くには?
 日本に来て日本の学校に通う子どもたちは、教科学習を日本語で行うだけでなく、行動規範、生活習慣、友だち関係など、生活文化交友面でも 日本 にどっぷり浸かっていきます。時には自分たちの文化について、お友だちから心ないことを言われてしまうこともあるでしょう。自分の国を離れている子どもたち、もしかしたらこれからずっと日本で暮らしていく子どもたちであっても、自分たちの文化を大切にして欲しい。それができて初めて子どもたちは自分に自信が持てるのではないかと思います。
 U−18では、子どもたちが自分の国や文化を大切にしながら、日本とみんなの国を尊重する姿勢をもてるようにしていきたい。そのためにやるべきこと、できることは何かを考え実行していくことも大切な課題だと痛感しています。(